スキージャンプの高梨沙羅選手が、2021年2月5日のスキージャンプ大会で「スーツ規定違反」となり失格になってしまいました。
ジャンプ女子は、オーストリアのヒンツェンバッハで個人第5戦(ヒルサイズ=HS90メートル)が行われ、18年平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(24)=クラレ=は1回目に全体トップの91・5メートルを飛んだが、スーツの規定違反で失格となった。
出典:Yahoo!ニュース(2021年2月5日)
スーツ規定違反とは何なのでしょうか。
また、高梨沙羅選手がしてしまったスーツ規定違反は具体的に何なのでしょうか。
詳しく調査しました。

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そもそも「スーツ規定違反」とは?
大きなスーツで空気抵抗を増やさないためのルール

スキージャンプは、ジャンプ台からジャンプして、空気抵抗を受けながら飛距離を伸ばし、その飛んだ長さで勝敗を決めます。
つまり、出来るだけ空気抵抗を増やせれば、試合を有利にすることができるのですね。
空気抵抗を増やすためには、スキー板を長くしたり、スーツを大きめなものにしたり…と色々と考えられるわけですが、こういった小手先で空気抵抗を大きくすることをスキージャンプ競技では禁止されています。
- 厚さは4~6mm以内
- 通気性は40ℓ/m²/秒以上
- 直立姿勢で、スーツ寸法はボディーと一致しなければならず、最大許容差はスーツのあらゆる部分において、ボディーに対しプラス1センチ~3センチ(女子は同2センチ~4センチ)とする
スーツ規定違反はよく起こる

意図的な空気抵抗を作らないためのルールとしてスーツ規定違反があるわけですが、そのスーツの寸法はシーズン始めに計測して数値を提出します。
そのため、体重の変化などで誤差が出てくる場合があり、「スーツ規定違反」は珍しいことではないようです。
そのため、スキージャンプのメダリストの原田雅彦さんは日刊スポーツの取材で以下のように答えています。
本人の責任でも、測った審判の責任でもない。我々管理する立場がしっかり管理しないといけない
出典:日刊スポーツ(2021年2月6日)
原田雅彦さん自身は06年トリノ五輪でスキー板の違反で失格を経験していますが、その原因というのが体重が200グラム足りなかったこと。
スキージャンプがいかにデリケートな競技かと言うのがわかりますね!
高梨沙羅のスーツ規定違反は具体的に何?
太もものサイズ

今回高梨沙羅選手がスーツ規定違反となってしまったのは、太ももの部分。
おそらく、当初よりも太ももが痩せてしまったのでしょうね。
女性選手は実際の体型+2~4センチまでが許される範囲ということで、体型とスーツにそれ以上の隙間があったのだと思います。
高梨沙羅のスーツ規定違反は意図的?
意図的ではない

スキージャンプでは、飛距離を伸ばそうと、より空気抵抗を受けられるように競技道具に細工したいと思う選手がいるかもしれません。
そういった点で「高梨沙羅選手も意図的にスーツを大きくした?」と疑問に思う方もいると思います。
しかし、空気抵抗を受ける際に太もものサイズをごまかすというのは高梨沙羅選手以前に前例がなかったそう。
なぜなら、太もも部分のスーツを大きくしても空気抵抗はそんなに変わらないからです。
効率よく空気抵抗を増やしたい場合は股下を下げようとすることが多く、今回高梨沙羅選手が太ももでスーツ規定違反を取られてしまったのも、意図的でないからこその太ももの部位ということだったのでしょう。
