突如として世界中を混乱と恐怖に陥れた、新型コロナウイルス(COVID-19)。
ただでさえ不安なのに、妊娠していたらなおさらです。
国内ではまだ新型コロナウイルス患者が少ないため、妊婦さんが感染した例もなく、情報がなくて不安ですよね。
そこで今回は、新型コロナウイルス感染症にかかってしまった海外の妊婦さんとその赤ちゃんの事例をまとめました。
- 新型コロナウイルス感染症にかかった海外の妊婦さんの事例
- 海外の事例での、母子感染や重症化の確率について
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海外で妊婦さんが新型コロナウイルスにかかった事例は?

海外の妊婦さんが新型コロナウイルスにかかった事例をネットで調べてまとめました。
中国の事例(1)

2020年3月6日に新型コロナウイルスにかかったお母さんから生まれた赤ちゃんは、新型コロナウイルスに感染していなかったようです。
新型コロナウイルスの感染が確認された妊婦が今月(2020年3月)6日に出産した赤ちゃんが、陰性判定を受けたことが分かりました。
大邱市によりますと、8日午前0時時点で感染者5378人のうち、妊婦は6人、産婦は1人となっています。
保健当局は、新型コロナウイルスによる母から子への垂直感染はないとみており、その根拠として、中国・武漢で新型コロナウイルスに感染した妊婦9人が健康な赤ちゃんを出産し、赤ちゃんへの感染を示す証拠が確認されていないことが挙げられています。出典:KBS WORLD
中国の事例(2)

武漢ではない中国国内で新型コロナウイルスに感染したお母さん10人のうち、1人が死産となってしまったようです。
中国広州市にある中山大学付属病院の研究チームは(2020年3月)13日までに、武漢市を除く中国国内で新型コロナウイルス感染のため入院し、帝王切開で出産した妊婦10人の症例を調べ、感染症専門誌ジャーナル・オブ・インフェクション電子版に発表した。このうち9人は健康な新生児が誕生し、母子感染はなかったが、重症の1人は死産となった。
この死産となった女性(31)は、臨月に近い妊娠34週余りで発熱や喉の痛みが生じ、感染が確認されて入院。肺や肝臓、腎臓などの多臓器障害で集中治療室に入り、体外式膜型人工肺(ECMO)を装着した。
子が生まれた女性のうち3人は胎児が低酸素状態になる機能不全(ジストレス)、1人は前期破水のため緊急帝王切開を行った。死産を含め、これらはウイルス感染が影響した可能性があるという。
出典:JIJI.com
新型コロナウイルスに感染したお母さんからは、母子感染を抑えるために帝王切開が行われるようですね。
中国の事例(3)

武漢に住む新型コロナウイルスに感染した33人の母親のうち、3人の赤ちゃんに母子感染が起き、一時重症になった赤ちゃんが1人いたものの、最終的にすべての赤ちゃんが一命をとりとめたと言うことです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった妊娠中の母親から子にウイルスが感染する「母子感染」は、まれだが起こり得るとの研究報告が(2020年3月)26日、中国の科学者チームによって発表された。
今回の研究では、パンデミック(世界的な大流行)を引き起こしているCOVID-19が最初に確認された中国・武漢(Wuhan)に住む妊娠中の母親33人を追跡調査した。その結果、出生時の新生児3人に新型コロナウイルスへの感染が確認された。サンプルの規模は非常に小さいが、感染発生率は約9%となる。
研究チームは、米国医師会(AMA)発行の医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に発表した論文に「分娩(ぶんべん)時には厳重な感染対策と予防措置が講じられていたため、新生児の上気道や肛門にみられたSARS-CoV-2は母親に由来する可能性が高い」と記している。
SARS-CoV-2は新型コロナウイルスの正式名称だ。
感染した新生児3人はみな男児で、母親がCOVID-19に関連する肺炎を発症していたため出産は帝王切開で行われた。さらに3人のうち1人は胎児仮死のため妊娠31週の早産となり、生後の蘇生が必要となった。
正期産で誕生した新生児2人は嗜眠(しみん)と発熱の症状があり、うち1人は肺炎を発症した。2人は集中治療室(ICU)で処置を受け、生後6日目に実施した新型コロナウイルス検査では陰性だった。
早産で生まれた新生児は肺炎、呼吸困難、敗血症を発症するなど、病状が最も深刻だった。これらの症状は人工呼吸、抗生物質、カフェインなどを用いた集中治療で最終的にすべて解消し、新生児は生後7日目の新型コロナウイルス検査で陰性となった。
新生児は3人とも一命を取り留めたという。
中国の専門家らは過去の研究報告で、生後30時間の新生児から新型コロナウイルスが検出されたことを受け、妊娠中の母から子へのいわゆる「垂直感染」が起きた可能性があるとの見解を示していた。
出典:AFP BB NEWS
母子感染や重症化の確率は?
海外の事例での母子感染の確率

世界的な混乱の中で、まだ母子感染の確率は正式には発表されていません。
ただ、中国の研究チームがアメリカの学会誌に発表した以下の内容から、母子感染することは十分考えられると思います。
分娩(ぶんべん)時には厳重な感染対策と予防措置が講じられていたため、新生児の上気道や肛門にみられたSARS-CoV-2は母親に由来する可能性が高い
出典:AFP BB NEWS
とはいえ、3月26日のニュースで発表された内容だと、新型コロナに感染した母親33人のうち3人の赤ちゃんが新型コロナウイルス感染症にかかったということなので、この数字からは1割強の確率で新型コロナウイルスの母子感染が考えられます。
ただ、まだまだ母数が少ないため、この確率は変化する可能性があります。今後の動向に注意が必要です。
海外の事例での重症化の確率

上記の海外の事例から見ると、母子感染の可能性は1割強で、その母子感染の疑いが強い赤ちゃんの合計は4人です。
その4人の内訳はこのようになります。
- 正期産・帝王切開の男児→意識混濁・発熱→ICUで回復し、6日後の検査で陰性に
- 正期産・帝王切開の男児→意識混濁・発熱・肺炎→ICUで回復し、6日後の検査で陰性に
- 妊娠31週の早産・帝王切開の男児→肺炎・呼吸困難・敗血症・仮死状態→ICUで回復し、7日後の検査で陰性に
- 妊娠34週で新型コロナウイルスで重症になった母親から緊急帝王切開で生まれた赤ちゃん→死産
この4例をみると、母親と赤ちゃんの壮絶な闘病の姿が目に浮かんで、いたたまれなくなります…
4例のうち、3例が無事に回復したと言うことで、重症化の確率は25%ということになります。
こちらもサンプル数が少なくて統計的に参考にはなりませんが、2020年4月4日時点の現状はこういった形です。
「妊婦が新型コロナにかかった海外の事例。妊婦ならではのリスクと対策」まとめ

なかなか先が見えない新型コロナウイルスの世界的なパンデミック。
妊婦さんは普段から生活に制約が出てストレスが溜まっている方もいるかと思うので、ここにきてさらに我慢か…と思うと本当にやるせないと思います。
しかし、生まれてくる赤ちゃんと笑顔で会うために、なんとか感染を予防して頑張ってほしいです。

