全国民に2枚ずつ配られることになった、アベノマスク。
安倍総理の肝入り政策として発表された新型コロナウイルス対策ですが、しかし届いた方から「汚い」「虫が混入している」などの苦情が相次いでいます。

そこで気になるのは、「このマスクは誰が、どこで作ったものなのか?」ということ。
製造元がはっきりしない商品、特に衛生用品は使うのが不安ですよね。
そこで今回は、日本政府がアベノマスクをどこから輸入したのか調べてみました。
- アベノマスクのメーカー・製造元
- アベノマスクメーカーが、発注元に選ばれた理由
※2020年4月27日追記
残り1社はユースビオという福島市の会社であることが発表されました。
ユースビオについては、こちらの記事にまとめています。

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アベノマスクのメーカー4社はどこ?受注額は?

日本政府は、アベノマスクの製造元は国内の4企業ということだけを明言してきましたが、やっと4月21日に企業名を公表しました。
以下で、その4企業についてまとめていきます。
興和

アベノマスクを受注した第1社目が、興和。
興和の政府からの受注額は約54.8億円とのことで、興和から納品されたマスクは「全戸配布用」と「妊婦向け用」として配布されているそうです。
- 契約金額 約54.8億円
- 製造マスク 全戸配布用と妊婦用の両方
- 製造場所 不明
日本政府がアベノマスクのメーカー発表をしていない間でも、興和は自社ホームページのなかで、「国からの要請のもと、ガーゼマスクを製造している」ことを3月5日から明言していました。
(プレスリリース3月5日)
興和株式会社は、国からの要請のもと、広く海外に展開している繊維事業の経験を活かし、国内と海外の生産協力工場を活用した「ガーゼマスク」の取り扱いを推進してまいります。3 月には 1,500 万枚規模、4 月には5,000 万枚規模の生産を目指し、日本国内に供給してまいります。
出典:興和HP
そして欠陥マスクが大量に混入していることがわかった現在では、状況を真摯に受け止め、検品体制の強化をすることも発表されています。
(プレスリリース4月23日)
興和株式会社は、3 月 5 日付のプレスリリースでお知らせしたとおり、政府からの要請のもと、広く海外に展開している繊維事業の経験を活かし、中国を中心とする海外の生産協力工場を活用した布製マスクの緊急生産を推進してまいりました。
こうした中、今般、政府へ提供した布製マスクの一部から不良品に該当する旨の報告を受けました。
当社といたしましては、この度の事態を真摯に受け止め、未配布分につきましては全量回収の上再検品し、生産協力工場における検品体制への指導強化を行うと共に、日本国内における全量検品を行ってまいります。
出典:興和HP
アベノマスクの製造元と明言している興和ですが、しかし製造過程については非公表となっています。
どこで、どのように作っているのか、製造過程は非公表とさせていただきます。
こちらは国の要請に従ってマスクを納めているだけなので、妊婦さんに配られたのか、正直、把握していません。
政府からは、検品を強化してほしいとの指示がありました
出典:日刊ゲンダイ
メーカーははっきりしているものの、どこで作られたのかをはっきりさせてほしいですね。
伊藤忠商事

アベノマスクを受注した第2社目は、伊藤忠商事です。
日本政府と伊藤忠商事とは、約28.5億円の契約を結んだと言います。
伊藤忠商事もまた、「全戸配布用」と「妊婦向け用」の両方のマスクを製造しています。
- 契約金額 約28.5億円
- 製造マスク 全戸配布用と妊婦用の両方
- 製造場所 不明
受注の経緯について、伊藤忠商事は自社ホームページのなかでこのように言っています。
受注の経緯に関して
政府は国内マスクメーカーに生産を要請したものの、必要とする数量に対して十分な量を賄うことができませんでした。
そこでマスクメーカー以外の企業にも生産要請を行い、その一環として当社にも強い要請がありました。
弊社としましては国家の緊急事態でもあることから、新型コロナウイルス感染拡大防止の一助になればと考え、対応をさせて頂く事と致しました。
出典:伊藤忠商事HP
また、不良品マスクの対策として、今後は検品体制を強化すること、未配布分は全品回収することを発表されています。
1度は不良品マスクを配布してしまったとはいえ、回収して対応するという点で誠実さが伺えます。
検品体制に関して
緊急性が求められていることから、当初生産分は縫製工場での自社検品後、厚生労働省に納品を行いましたが、同省より、各社から調達をしたマスクの中に不良品が発生しており、検品を強化するようにとの指示がありました。
当社は未配布分を全量回収すると共に、今後納品するマスクは、現地縫製工場における通常の検品に加え、輸出前の外部業者による検品、さらに日本に輸入後も当社社員も数十名立ち合いのもと、専門業者による検品と三重の全量検品体制を敷き強化を図っております。
出典:伊藤忠商事HP
こちらも、製造場所は明確になっていません。
マツオカコーポレーション
アベノマスクを受注した第3社目は、マツオカコーポレーション。
日本政府からの受注額は、約7.6億円だそうです。
マツオカコーポレーションも「全戸配布用」と「妊婦向け用」の両方のマスクを製造しているそうです。
- 契約金額 約7.6億円
- 製造マスク 全戸配布用と妊婦用の両方
- 製造場所 不明
4月26日現在、マツオカコーポレーションはアベノマスクを受注した経緯や製造場所なども発表しておらず、不良品マスクを回収するなどといったことも発表されていません。
残り1社は不明
4月26日現在、残り1社だけはまだ未発表となっています。
この不明の会社は、「妊婦向け用」のマスクのみを製造しているそうです。
製造元3社との契約金は合わせて約90.9億円ですが、アベノマスクの予算は466億円。
「残り1社に370億円つかったの?」と謎は深まるばかりです。
そして厚労省は、野党やマスコミからの問い合わせを交わし続けています。
興和株式会社:54.38億円
伊藤忠商事:28.5億円
株式会社マツオカコーポレーション:7.6億円アベノマスクの調達が終わっている調達先と金額の厚労省回答。
が、調達枚数は単価が類推されるので公表できないと言います。以前官房長官は200円.担当者は260円と言っていたのに。 https://t.co/Ekz08ThHZp— 蓮 舫 ・ 立 憲 民 主 党 ( り っ け ん ) (@renho_sha) April 21, 2020
なぜこの3社になったの?
製造大手だから

興和がアベノマスクを受注したのは、元々マスク製造事業を行っており、それなりの実績があったからと考えられます。
興和は国内で有名なマスク「三次元マスク」のメーカーでもあるため、日本政府がマスク製造依頼をしたのは納得できます。
他にもマスク製造シェアが大きい企業もありますが、国内外でなかなかマスクの製造が追いつかない中で、なんとか引き受ける余力があったのが興和だったとも考えられます。
伊藤忠商事は国内の商社としては最大の企業。
そのため、急遽大量の布マスクが必要となった際に、日本政府が頼み込むのも当然かもしれません。
生産に関して
緊急事態により、世界的にマスク需給が逼迫し、国内のマスク専用工場には生産余力が全くなく、海外においても生産スペースの確保は極めて困難な状況となっておりました。
かかる状況下、当社のネットワークにて海外の衣料品縫製工場に生産スペースを特別に確保しました。
尚、製品の均一性を保つため、国内マスクメーカーより仕様書と生地の供給を受け、それに基づき生産を請負っております。
出典:伊藤忠商事HP
マツオカコーポレーションは、そもそも衣料品製造のメーカー。
ホームページを見てみても、マスクの製造を行っていたという記述はありません。
国外に10個の自社工場を持っていると言うことで、日本政府がマスク製造を依頼したものと考えられますが、なぜマツオカコーポレーションが選ばれたのかははっきりしていません。
政府関連だから?

興和は、ミャンマーにある工場でマスク製造を行ったことが共同通信から発表されました。
しかし、「日本ミャンマー協会」の最高顧問は財務大臣の麻生太郎。
安倍総理夫人の昭恵さんもミャンマー支援に積極的なことから、麻生大臣や昭恵夫人のコネで興和が随意契約したのではないかという疑惑が今浮上しています。
(医薬品や繊維事業を手掛ける興和は)ミャンマーにある協力企業の工場で、繊維製品の生産ラインをマスク製造に転用する。
不織布マスクの生産設備も増強しており、3月中に従来よりも月1200万枚を増産できるようにする。
出典:共同通信
2013年に安倍総理夫妻がミャンマーを訪問した際の政府専用機には、「アベ友」で知られる加計学園の加計晃太郎理事長が同乗したことを、民進党の宮崎岳志議員の質問に安倍総理自身が回答してる。
当時加計学園はミャンマーからの留学生受け入れを積極的に進めていたとされる。
出典:IWJ
元々のマスクの製造実績で興和が選ばれた可能性もありますが、麻生大臣と昭恵夫人のミャンマー絡みで受注を決めたという可能性も否定できません。
また、日本郵政の筆頭株主が財務大臣である点にも、疑惑の目が向けられています。

麻生太郎財務大臣1人で日本郵政の63%の株を持っていることから、アベノマスクを郵送配布にしたのは麻生大臣を儲けさせるためではないかという憶測が広がっているのです。
残り1社が発表されないのはなぜ?
企業活動に影響を及ぼす恐れ

日刊ゲンダイの取材に対し、厚労省マスク班は以下のように答えました。
急いでマスクを作る必要があったので、品質を担保でき、生産体制が整っている会社に、こちらから生産を依頼しました。
どのメーカーに何枚依頼したかは、単価が計算できてしまうので公表していません。
今後、取引先との関係など、企業活動に影響を及ぼす恐れがあるからです。
妊婦向け用のマスクだけを製造している企業名は公表していません。
出典:日刊ゲンダイ
取引先との関係など、アベノマスクを引き受けた企業活動の影響を考慮して、発表しないとのことです。
もしかしたら、受注の際の契約に「会社名を公表しない」という条件があったのかもしれません。
しかし、これだけお粗末なマスクをつかまされるとは…
日本政府がとにかく焦っていたこと、足元を見られて交渉されていたことが感じられます。
政府関係企業?

あくまで推測でしかありませんが、ここまでメーカー名をひた隠しにされると、もしや政府関連の企業なのではないか、安倍政権と関係しているのではないかと勘繰ってしまいます。
- 製造元がミャンマーであること
- 日本郵政の仕組みを使ってアベノマスクを配布すること
以上2点において安倍内閣の利権がチラホラ見えていただけに、残りの1社についても、明らかになると政権の支持率が下がるような何かがあるのではと考えてしまう人も多いかと思います。
アベノオトモダチマスクだろうな。>https://t.co/qPWfj9xBWW
— hebereke (@heberek25848081) April 24, 2020
残り1社も近々発表の可能性
政府がひた隠しにしている残り1社の社名ですが、公共調達は契約から93日以内に内閣府のホームページに公開されるそうなので、近々発表になる可能性もあります。
公共調達の適正化について(平成18年8月25日付財計第2017号)に基づく公表
契約締結の翌日から72日以内(各年度の4月1日から4月30日までの間に締結した契約については、93日以内)に掲載(更新は月に1度実施)
出典:内閣府
「どのみち発表するなら、なぜ早く発表しないの?」という疑問もありますが、今後の政府の様子を見ていくしかありません。
※2020年4月27日追記
4月27日に、この4社目はユースビオであることが菅官房長官から会見で発表されました。製造地はベトナムとのことです。
さらに5社目として横井定が発表されました。「契約したのは4社」と言っていたのに、なぜ5社目が?という疑問の声も出ています。
「アベノマスクのメーカーはどこ?残り1社が公表されないのはなぜ?」まとめ

国民からなにかと評判の悪い、アベノマスク。
「なぜこの企業がアベノマスク製造元に選ばれたのか?」「残り1社はどこか?」「実際にマスクを製造している場所はどこなのか?」など、たくさんの疑問があるものの、一向に政府は情報を隠しています。
森友問題や加計学園問題の際も、安倍政権の情報隠し体質に疑問を持った方も多いと思います。
今回も、政府はメーカーの企業活動を慮って残り1社のメーカー名を伏せていますが、消費者として当然知る権利もあるため、今後の政府の情報開示に注目が集まります。


